理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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千葉県理学療法士会公益事業部スポーツ健康増進支援部の挑戦
宮島 恵樹岡田 亨村永 信吾東 拓弥秋葉 洋介石田 隆亀山 顕太郎國藤 茂小西 由里子杉浦 史郎高見澤 一樹七尾 真理子橋川 拓史彦田 直間島 和志
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p. Ed0827

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抄録
【はじめに、目的】 高齢者の転倒予防の実践は,各個人の健康寿命延命のみならず,実益的な医療費削減や介護費削減,さらには地域,自治体の活性への貢献として今後の重要課題といえる.加えて運動機能の維持向上への取り組みは,現在,歩行機能の低下を自覚する世代から,その予備軍的な世代に対する幅広い働きがけが必要である.我々,千葉県理学療法士会は,県内における専門領域職能団体として,千葉県民の能動的で活発な健康社会づくりに寄与するため,千葉県理学療法士会公益事業局スポーツ・健康増進支援部の取り組みとして2010年度より「千葉県から転倒を減らそうプロジェクト」を展開している.本取り組みは県内士会員による転倒予防を目的とした転倒予防セミナーの開催と歩行年齢測定会の実施を行なっている.測定会は,有志の県士会員の協力を得ながら県内各地で開催される健康増進,福祉関連イベントなどに千葉県理学療法士会として出展を行い実施している.各測定会では測定結果をもとに,その場でフィードバックと自己管理方法としてのエクササイズ指導を合わせて行っている.今回は我々が実施している歩行年齢測定会の活動について以下に報告する.【方法】 2011年度より法人格を取得した千葉県理学療法士会において公益事業局スポーツ健康増進支援部が設置された.本部会は,前身である2010年度の特別委員会スポーツ・健康増進委員会の段階より実施していた県民に対する転倒予防事業の展開を継続し,千葉県から転倒を減らそうプロジェクトとして現在実施を行っている.測定会は千葉県内各地の健康増進,福祉関連イベントへの出展公募を行い,場合によっては県や開催市町,医師会などからの後援を受け実施している.測定会での測定協力ボランティアはスポーツ健康増進支援部からの告知により県内の県士会員に参加募集を行い必要人員の確保を行った.歩行年齢測定は,測定項目は,体組成,ファンクショナルリーチ,2ステップテスト,TUG,立ち上がりテストの5項目である.会場に電源が確保できる場合は,てんとう虫テストソフト(第一学習社)を用いて,転倒指数ならびに歩行年齢の算出を行い,電源が確保できない会場では,簡易版として,2ステップテストの結果を身長で除した値で換算表を用いて歩行年齢を算出した.測定結果に対する説明は,転倒予防に対する危険度,機能低下が明らかな点,改善目標を自己管理の為のエクササイズ指導とあわせて説明した.測定参加者,運営県士会員ともに,アンケートを実施し,歩行年齢測定回参加の印象を調査した.【倫理的配慮、説明と同意】 測定に参加する県民には文章ならびに口頭にて十分な説明を行い参加する意志を確認し,同意された県民のみ測定を行った.また,測定会運営スタッフに対しては事故対応としてスポーツ健康増進支援部でイベント保険に加入した.【結果】 平成22年度より県民に対して実施した転倒予防事業,歩行年齢測定会は18回の実施を行った.実施後のアンケートでは「現状を知れて良かった」「漠然と脚力低下を自覚していたが、客観的な指標でそのことが明確となった」、「今後は積極的に運動に取り組む」という意見が多く,また、今後の継続的な実施への期待が強かった.運営に参加した県士会員からは,「良い経験となった」「スキルアップにつながった」という意見があげられ,こうした公益事業を県士会団体のもとに行った活動により県内理学療法士の活動域の拡大への期待が感じられた.【考察】 高齢者の歩行,移動能力の低下は今後の国内において大きな問題を含んでおり,積極的な対策が必要である。また転倒予防は加齢による機能低下が著明に現れる以前からの取り組みが有効とされており,我々が取り組んでいる,広域イベントでの測定会の実施は,対象となる高齢者はもちろん,同伴してきた家族や,その孫の世代までを巻き込んだ測定実施が可能となり,大変有効な取り組みであると実感している.これまでに,1500人程度の県民に対する測定やエクササイズ指導を行うことで,県民の転倒予防や健康寿命延命に対する普及振興が行えたものと考える.また,こうした活動を,県の理学療法士団体が組織的にリーダーシップを発揮し事業展開を行うことが,県内理学療法士の活性に大変有効である印象を得ている.我々の取り組みは,高齢者のみならず,県民への働きがけとなり,さらには,県士会員の活動領域の拡大などにも有益な取り組みとなっていると考え今後も継続して行きたいと考えている.【理学療法学研究としての意義】 理学療法士が国民の健康寿命延伸や,転倒予防活動に積極的に参加することで理学療法士の認知向上はもとより。理学療法士の知識技術が健康増進分野へも十分寄与することが示唆され、予防分野への職域拡大に貢献すること考える.
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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