理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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一般演題 口述
臨床実習における指導類型と学生の満足度・自己効力感との関連
村藤 卓秀齋藤 圭介原田 和宏日高 正巳
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p. Ga0184

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抄録
【目的】 近年,養成校増加・多様化による新卒者の格差,コミュニケーション能力を中心とした近時の学生の資質低下などがみられることで,質の高い臨床実習教育のあり方について検討する事が喫緊の課題となっている。そこで効果的な臨床実習教育方法・形態の追求として,伝統的な「患者担当型」「レポート重視型」の指導形態から,クリニカル・クラークシップなど体験・経験知涵養を目的とする教育方法への転換が図られつつある。しかし,より根本的な問題として臨床実習で教育すべき指導内容の構成要素や,何を重視して指導するか,共通のコンセンサスや広く普及したガイドラインは存在しない。そこで本研究では,一貫性のある教育効果の高い臨床実習教育を探る基礎的検討として,臨床実習を終えた学生を対象に調査し,実習指導の現状の面より,指導内容の類型化を試み,学生の主観的側面との関連から教育効果の高い指導形態を探る事を目的とした。【方法】 理学療法士養成機関2校の最終学年生(4年制大学37名(男性23名,女性14名,21.3±1.0歳),3年制専門学校30名(男性14名,女性16名,22.3±4.6歳))に対して調査を実施した。調査方法は,無記名自記式の調査票を用いた留置調査法を用い,臨床実習におけるベースラインとして初回調査を実施した上で,4年制大学は前期・後期実習終了後の計2回,3年制専門学校は第1期,第2期,そして第3期実習終了後の計3回実施した。調査項目は,基本属性,学生の主観的側面の評価として,「一般性セルフエフィカシー尺度(General Self-Efficacy Scale:GSES)」,「Visual Analogue Scale(VAS)を用いた臨床実習満足度」,臨床実習指導内容として「理学療法過程自己評価チェックリスト(清水,1994)」(以下,チェックリスト)を取り上げ,調査を実施した。検討内容として,まず実習指導内容の類型化を図る事をねらいにチェックリストの下位6領域の得点を基に平方ユークリッド距離を用いたWard法クラスター分析で検討した。次いで,前述した検討によって得られた各指導類型と,学生の臨床実習満足度(VAS),自己効力感(GSES)との関連について比較検討を行った。この検討に関して,実習後のVAS,GSESの比較には多重比較(Tukey検定),実習前後のGSESの比較にはWilcoxon検定を用い検討した。また,各指導類型において対象となる2施設の実習時期が異なることから,学生のデータに偏りがでるため,実習開始期(前期-第1期)と最終期(後期-第3期)での比較も行った。統計学的有意水準は5%とした。【倫理的配慮,説明と同意】 本研究は,吉備国際大学倫理委員会より承認(受理番号09‐20)を得て実施した。調査に際しては,詳細な研究内容を記載した研究同意書を作成して説明を行い,十分な理解を得た上で直筆での署名による同意を得て実施した。【結果】 クラスター分析の結果,3つの指導方法に分類され,それぞれを「指導高密度型(以下,高密度型)」,「指導低密度型(以下,低密度型)」,「指導中等度型(以下,中等度型)」と命名した。また,各指導類型とVAS,GSESとの関連については,実習後のGSESにおいては低密度型が中等度型に対し有意に高かった。また,実習前後のGSESにおいては,統計的な有意差がみられなかったものの,高密度型(p<0.10),中等度型(p<0.10)の実習後のGSESは低下する傾向,低密度型は上昇する傾向(p<0.10)がみられた。また,実習開始期,最終期の同時期での比較の結果,実習後のVASにおいてはどちらとも統計的な有意差がみられなかった。実習後のGSESにおいて,実習開始期では低密度型が中等度型に対して有意に高かった。また,実習前後のGSESにおいては,どちらとも統計的な有意差がみられなかったものの,各指導類型とも実習開始期では実習後のGSESが低下する傾向(p<0.10),最終期では実習後のGSESが上昇する傾向(p<0.10)がみられた。【考察】 GSESにおいては低密度型が中等度型に対し統計的に有意に高かったことは,指導が低密度なことにより,学生がむしろ主体的に取り組むことが出来る環境が得られ,自信につながったと考えられる。学生に自信を持たせるという観点から,臨床実習の導入教育としてまた,最終の実習の締めくくりとして適切な指導スタイルというのがあると思われる。最初の実習において自己効力感が指導低密度型と関連していた結果は,実習各期に限らず低密度型の指導が良く,中等度の指導が良くないというのではなく,時期に即しての適切な指導スタイルがあるということを示していたものと思われる。【理学療法学研究としての意義】 一貫性を持った臨床実習教育の質的充実を検討する上での基礎的資料となり得ると考えられる。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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