理学療法学Supplement
Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
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回復期リハビリテーション病棟における疾患別の自宅復帰とFIMとの関連性
中村 裕樹斉野 仁小川 哲哉渋谷 友紀野崎 潤平川原 翔坂元 梨紗俵積田 和美久保 はるみ窪田 正大八反丸 健二
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p. Gb0793

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抄録
【はじめに、目的】 回復期リハビリテーション病棟(以下、回リハ病棟)は、急性期病棟より引き続き集中的なリハビリテーションを施行し自宅退院を推進していくことが重要である。当院では、2010年8月に回リハ病棟の増床に伴い病棟スタッフの患者ケアにおける介助・介護の統一を図るためにFunctional Independence Measure(以下、FIM)を導入し、看護師・リハビリスタッフが協働して評価している。FIMは評価者を選ばず、さらに項目ごとの評価尺度が細かいためにリハビリテーション効果が反映しやすいという利点があるといわれている。今回、疾患別に対するリハビリテーション施行単位数(以下、リハ施行単位)と自宅復帰及びFIMとの関連について検討したので報告する【方法】 対象は、2010年8月~2011年8月までに当院回リハ病棟を入退院した症例で、急性疾患で転院となった者を除外した298例(脳血管107例・運動器191例)を対象とした。検討項目は、疾患別に発症から入棟までの期間・年齢・リハ施行単位・入院時FIM・退院時FIM・FIM利得(退院時FIM-入院時FIM)・FIM効率(FIM利得/入院期間)・転帰先(自宅、自宅以外)とした。統計学的検討は、マン・ホイットニ検定とスピアマン順位相関係数検定を用い、いずれも危険率5%未満を有意差有りとした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は、研究計画書を通し、筆者の所属する病院の倫理委員会の承認を得た。【結果】 対象期間における自宅復帰率は、脳血管が72.0%で運動器が90.1%であった。年齢による自宅復帰状況は、脳血管が自宅74.1±12.7歳・自宅以外80.9±10.4歳で、運動器が自宅73.4±16.7歳・自宅以外82.6±8.0歳であり、若年者ほど自宅復帰していた(p<0.05)。入棟までの期間は、脳血管33.7±16.3日、運動器27.1±22.2日であり転帰先による差は認めなかった。疾患別における入退院時FIM得点の比較では、脳血管の入院時FIMは自宅84±26.7・自宅以外36.3±19.6で、退院時FIMは自宅104.6±25.1・自宅以外47.5±28.1であった。また運動器の入院時FIMは自宅90.9±23.9・自宅以外60.9±24.6で、退院時FIMは自宅112.2±17.4・自宅以外79.9±27.6であり、脳血管、運動器共に退院時の方が有意に改善していた(p<0.01)。疾患別にリハ施行単位を比較すると、脳血管・運動器ともに自宅以外が有意に多かった(p<0.01)。また、施行単位数とFIM利得との関連は、脳血管r=0.32、運動器r=0.39とやや有意な相関を認めた(p<0.01)。さらに、FIM効率は、脳血管で自宅0.34±0.27・自宅以外0.11±0.14となり、運動器で自宅0.47±0.68・自宅以外0.25±0.22となり有意な差を認めた(p<0.05)。【考察】 診療報酬の改定のたびに回リハ病棟では、患者重症度と自宅復帰が評価課題として取り上げられている。そのため入院時より身体の機能改善はもとより自宅での生活を視野に入れた動作の獲得を回リハ病棟全体で取り組まなければならない。また、リハ施行単位数や入院期間などの量の要因が患者の日常生活能力の改善に関係してくるとの報告がある。自宅復帰では局所の改善だけではなく、より全身機能の管理状態に問題が生じやすい脳血管疾患が復帰困難になることが分かった。このことは入退院時FIM利得からも自宅以外の場合は自宅群と比較してそれほど利得の差がなく動作の獲得に苦慮することからも伺える。リハ施行単位は各疾患とも平均6単位前後施行しており、改善が必要と思われる自宅以外の方に対しより多くの療法を提供している状況ではあったが、FIM利得は単位数が必ずしも関与していないことが分かった。これは、日常生活の状況を把握し、質の評価になるFIMと単位数という量の評価の間には療法以外にも療養環境や病棟スタッフの介助量など様々な要素があるのではないかと考える。例えば、更衣動作ひとつとっても訓練では可能でも、病室では過介助になり患者自身の動作の定着を妨げているのではないかと考える。そのためには、リハスタッフだけではなく他の病棟スタッフとの連携をより図り、動作の獲得を推進できるように介入する必要性があると考える。【理学療法学研究としての意義】 今回の検討において入院期間中の疾患別におけるFIM改善の程度と療法の関与状況を理解することができた。今後は、動作獲得と日常生活での定着に関して、他職種間の連携および介入方法について再検討していく必要がある。
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© 2012 公益社団法人 日本理学療法士協会
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