理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: A-O-06
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一般口述発表
地域在住女性高齢者における脊柱後彎度と歩行動揺性の関連性
今井田 憲西沢 喬田中 優介小林 まり子福田 敦美原田 和宏
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抄録
【はじめに、目的】地域在住高齢者において転倒・骨折は女性に多く、歩行中に発生する割合が多いと報告されている。転倒が歩行中に最も多く発生することをふまえると高齢者の歩行動態を検討する必要があると考えられる。さらに高齢者の加齢による姿勢変化の疫学的調査によると脊柱後彎変形が最も多い。後彎変形が進行するほど歩行能力が低下し、転倒の確率が増加するといわれおり、その傾向は女性に強いことがいわれている。しかし脊柱後彎姿勢を呈する高齢者の転倒に及ぼす影響については十分に明らかにされていない。以上を踏まえ脊柱後彎姿勢が及ぼす歩行動態への影響を明らかにしていくことが課題である。今回、地域在住女性高齢者を対象に歩行時の動揺性指標の特性を検証すると共に脊柱後彎度指標と歩行動揺性指標の関連性を検討したので報告する。【方法】対象の取り込み基準は、岐阜市内の一医療機関を利用者する65 歳以上の高齢女性で見守りを必要とせず10m以上歩行が可能な者とした。除外基準は感覚や運動機能が障害される神経性筋疾患を有する者、6 ヶ月以内に骨折・手術を施行された者とした。最終的に31 名(平均年齢77.2 ± 7.5 歳)を対象とした。歩行動揺性指標は加速度計を用いて自由歩行中の体幹加速度信号に波形解析を加えて求めた。波形解析には時系列解析パッケージ(TISEAN)を用いた。脊柱後彎度指標はOcciput-to-table distance(以下OTD)で評価した。歩行動揺性指標は加速度計を用いて自由歩行中の体幹加速度信号に波形解析を加えて求めた。歩行動揺性指標と外的基準として転倒リスクに直結する歩行異常性尺度との相関を検討した。最後に標準化した歩行動揺性指標にOTDが及ぼす影響について重回帰分析を用いて検討した。統計解析は統計ソフトパッケージPASW18.0(IBM社)を用い、有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】本研究計画は所属の倫理委員会の承認(♯100401-1)を得た。対象者に研究内容・方法・不利益等を口頭および書面にて説明し、文書による同意を得た。【結果】歩行動揺性指標と歩行異常性は中等度の相関(0.57<r<0.63)がみられた。OTDの歩行動揺性指標への影響については左右方向の歩行動揺性に独自の影響を認めた。【考察】歩行動態として歩行動揺性指標を測定した。歩行動揺性指標の特性、脊柱後彎姿勢との関連性を確認した。歩行動揺性指標は歩行異常性と相関関係があり、転倒リスクに関連することが示唆された。また、脊柱後彎度指標は年齢や体格・体力を調整しても、歩行中の左右方向の動揺性を規定する特性(後彎が著しい者ほど左右の動揺が大きい)が示された。歩行の安定性を考える場合、身体重心の左右方向へ移動量を微調整する必要があるといわれており、左右方向の動きに着目することは妥当であると考えられる。【理学療法学研究としての意義】脊柱後彎姿勢を呈する女性高齢者の歩行動作での動揺について部分的ではあるが、明らかにすることができた。本研究の結果より脊柱後彎に伴う歩行中の左右動揺を制御する介入方策の検討への契機になると考えられる。介入方策の検討する上で、体幹の姿勢変化が歩行中の左右動揺に関与するメカニズムに着手する必要があるのではないかと考えられ、今後の課題が示唆された。
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© 2013 日本理学療法士協会
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