理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: A-P-55
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ポスター発表
スマートフォンなどの加速度センサーを利用した身体バランス計測器の開発〜その経緯と妥当性の検証〜
木野田 典保角谷 一徳
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抄録
【はじめに】運動器や中枢神経疾患の患者に対して平衡機能の客観的な評価のため重心動揺計を用いることは有用である。しかし,専用の重心動揺計は高額であり,測定できる施設や環境を限定せざるを得ない。そこでスマートフォンやポータブルメディアプレーヤー(以下スマホ)などに搭載されている加速度センサーを利用した身体バランス計測器を開発したので,その妥当性を経緯も含めて報告する。【方法】以下に開発の経緯を示す。ステップ1 でスマホの加速度センサーから取得したデータから軌跡長を算出するプロトタイプアプリを作成し,被験者3 名に対して初期実験を実施した。仮説計算式を2 つ用意し,重心動揺計の軌跡長値と比較しながら選定した。ステップ2 で計測位置や固定方法などで,よりデータが安定して取得できる方法を確定した。ステップ3 で被験者を増員して様々な体格や年齢での補正などを検討した。ステップ4 でスマホの静止状態での微細に算出される加速度値をノイズとして除去した。最終ステップとして,対象を健常な男性11 名,女性10 名。年齢は22 〜52 歳,平均年齢は29.5 ± 8.23 歳とし、スマホの加速度センサーから取得される計算上の軌跡長と重心動揺計から取得できる軌跡長との関係性を調査した。計測には重心動揺計はアニマ社製TWIN GRAVICORDER GP-6000 を,スマホはipod touch(第4 世代)を使用した。ともに開眼と閉眼における閉足での直立立位姿勢の状態で,サンプリング周期50msにて30 秒間計測し軌跡長を取得した。スマホは臍下に被験者自身の手でしっっかりと固定し、スマホのプロトタイプアプリの計測が開始されると同時に、験者が重心動揺計の計測ボタンを押した。統計処理はSPSSを用い、両者から得られたデータの関係性を求めるため、pearsonの相関係数を求めた。【倫理的配慮、説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、被験者全員に対して研究の主旨を十分に説明して同意を得た。【結果】重心動揺計の軌跡長の平均値は37.6 ± 1.52cm,スマホの加速度センサーからの計算上の軌跡長の平均値は37.6 ± 9.8cmであり,Pearsonの相関係数は0.643(1%水準,両側で有意)であった。【考察】結果より重心動揺計の軌跡長の値とスマホから得られる軌跡長値とは正の相関が認められため,既存の重心動揺計に代わる身体の平衡機能を現す重要な計測手段に成りうると考える。【理学療法学研究としての意義】スマホなどの加速度センサーを用いて身体のバランス能力を客観的なデータとしてどこでも簡単に取得できることは臨床上非常に意義があると考える。
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© 2013 日本理学療法士協会
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