理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-O-04
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一般口述発表
最適な介護予防事業内容の検証
介護予防事業のエビデンス確立に向けて
山田 実青山 朋樹薗田 拓也丸山 宗一郎荒井 秀典
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抄録
【はじめに、目的】近年、介護予防の重要性が示されるようになり、各市町村では積極的に介護予防事業を実践している。実際、介護予防事業に参加することで新規要介護認定者を半分以下にできることが分かっており、今後ますますその重要性は高まることが予想される。しかしながら、介護予防事業の内容に関してはエビデンスがなく、各市町村とも独自に開催頻度、開催回数、運動内容等を決定している。本研究の目的は、介護予防に最も適切な運動教室の事業内容(開催頻度、セラピストの有無等)を検証することである。【方法】我々は近畿圏内を中心に、6つの市町と協力して介護予防のためのデータベースを作成しており(The Japan Multi-center Aging Cohort for Care prevention study:J-MACC study)、本研究でもこのJ-MACC studyの2010から2011年度のコホートデータを利用した。対象者は2010年度に要介護状態にない65歳以上高齢者39,645名(75.2±6.7歳)であり、このうち2009年度に介護予防事業に参加した826名(77.7±6.7歳、女性率77.7%)を分析対象とした。J-MACC studyには計15種類の介護予防事業内容が含まれており、それぞれ開催回数(12回以上、12回未満)、開催頻度(週1回以上、週1回未満)、指導者がセラピストかどうか、教室の参加者定員(20名未満、20名以上)の組み合わせが異なる。そのため、各内容をダミー変数化したものを説明変数に(ステップワイズ)、年齢、性別、基本チェックリストの該当数(虚弱の程度)を調整変数に(強制投入)、そして新規要介護認定の有無を従属変数に投入したロジスティック回帰分析を行った。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は京都大学医の倫理委員会の承認を受けて実施したものである。【結果】826名の分析対象者の中で、2012年3月までに要介護認定を受けたのは54名(6.5%)であった。各開催内容項目と新規認定率の関連を検討した単変量解析では、開催回数(12回以上:5.1%(新規認定者割合)、12回未満:9.9%、P=0.011)と指導者(セラピスト:2.6%、非セラピスト8.4%、P=0.001)で有意差を認め、開催頻度(週1回以上:7.7%、週1回未満:6.1%、P=0.270)、教室の参加定員(20名未満:8.3%、20名以上:5.7%、P=0.116)では有意差は認められなかった。ロジスティック回帰分析による多変量解析の結果、事業内容としては開催回数が12回以上であることのみ有意な関連要因として抽出された(オッズ比=0.368、95%信頼区間: 0.202-0.673)。【考察】本研究の結果、新規要介護認定者数を抑制するためには、少なくとも12回以上の教室開催が必要であることが示唆された。その他、開催頻度、セラピストの有無、教室の参加者定員等は有意な関連性が認められなかった。これらの結果は、介護予防を目的とした場合には、開催頻度やセラピストの有無、それに参加者定員などには依存せずに、量を担保する必要があることを示している。なお、本来であれば筋力トレーニングやバランストレーニングなど運動内容の詳細な検証も必要ではあるが、本研究では未検証である。【理学療法学研究としての意義】近年ではセラピストも介護予防事業に参画している場合が多く、その役割は重要と考えられている。本研究によって開催回数だけでも明確な数値を示せたことは意義深い。しかし一方で、介護予防事業におけるセラピストの有無は新規要介護認定に明確に関係しておらず、今後はセラピストの専門性を最大限いかし、かつ有用となるような介護予防プログラムを構築する必要がある。
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© 2013 日本理学療法士協会
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