理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-02
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ポスター発表
片麻痺者における麻痺側片脚立位が自宅近隣の生活空間に及ぼす影響について
岩崎 稔二瓶 健司鈴木 一明渡辺 直彦
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キーワード: 片麻痺, 片脚立位, 生活空間
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抄録
【目的】 わが国における要介護認定者では脳卒中片麻痺者が疾患別で最も多く,なかでも在宅片麻痺高齢者の外出機会の減少が活動性の低下につながり要介護度との関連が報告されている.生活空間の拡大にはバランス能力や転倒関連自己効力感などが関与しており,バランス能力の指標としてBerg Balance Scale(BBS)やTimed Up & Go Test,片脚立位などが用いられている.在宅片麻痺者の麻痺側片脚立位時間のカットオフ値を3.5秒とし,外出機会の頻度に差がみられたとの報告がある.しかし,入院患者の片脚立位時間と退院後在宅での外出機会を含めた生活空間との関係性を調査した報告はまだない.そこで本研究では,回復期リハビリテーション病棟退院時の麻痺側片脚立位時間が在宅での生活空間に及ぼす影響について縦断的に調査することとした.【方法】 回復期リハビリテーション病棟に入院していた片麻痺患者30名(男性18名,女性12名,66.5±12.5歳)を調査対象とした.疾患の内訳は,脳梗塞16名,脳出血13名,硬膜下血腫1名で、下肢のBrunnstrom StageはStage3が5名,Stage4が5名,Stage5が12名,Stage6が8名であった.除外基準は認知症を有する者(長谷川式簡易認知症スケールで20点以下),自宅に退院が出来なかった者とした.発症日からの平均入院日数は102±60.8日であった.評価項目は退院時にBBSを検査し,退院3か月後に在宅での生活空間評価(Life-Space Assessment;LSA)を聴取した.解析方法はBBSの下位項目の一つである麻痺側片脚立位時間を3秒で分けた2群(3秒以上群,3秒未満群)のLSA平均値および各生活空間レベル(5段階のレベル:自宅内,敷地内,隣近所,町内,町外)の平均値をt検定で比較した.統計学的有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮,説明と同意】 本研究は,財団法人星総合病院倫理審査委員会の承認を得て実施した.対象者には委員会で承認された説明書を用いて研究者が本研究の概要を対象者に説明し,署名にて同意が得られた者が研究に参加した.【結果】 各指標の平均値±標準偏差はBBS 39.4±13.4点,LSA 47.4±22.9点であった.3秒以上群は11名,3秒未満群は19名で,両群間の年齢における有意な差は認められなかった.両群のLSA得点は,3秒以上群(59.4±24.1点)が3秒未満群(40.4±19.6点)に比べて有意に高かった(p<0.05).LSAの各生活空間レベルにおける比較では,敷地内レベル(3秒以上群:13.5±5.0点,3秒未満群:8.6±5.1点)や隣近所レベル(3秒以上群:16.2±10.2点,3秒未満群:7.8±9.1点)の平均値において3秒以上群が3秒未満群に比べて有意に高得点を示した(p<0.05).自宅内や町内,町外のレベルでは両群間で有意な差が認められなかった.【考察】 本研究において,退院時の麻痺側片脚立位の3秒以上群は3秒未満群に比べ生活空間が拡大する傾向にあり,麻痺側片脚立位が在宅での生活空間に影響を及ぼす一因であることが示された.特に,自宅敷地内から隣近所レベルまでの生活空間が拡大しており,3秒以上の麻痺側片脚立位が自宅近隣の外出能力に関係していることが明らかとなった.麻痺側片脚立位は足関節調節による体重心を一定に保つ能力とし歩行能力の向上との関係性が報告されていることから,麻痺側片脚立位の保持時間が屋外での歩行能力に左右され,自宅近隣の生活空間に差が生じたと考えられる.一方,町内や町外レベルで麻痺側片脚立位における差が認められなかった要因としては,隣近所レベルよりも移動距離が長くなり自動車や公共交通機関などの歩行以外の移動手段が多いと予想され,麻痺側片脚立位の影響が少なかったと考えられる.先行研究で報告されている在宅片麻痺者の麻痺側片脚立位時間と外出頻度との関係性は横断的な調査であるが,今回の研究は縦断的調査であるため,退院後の在宅生活を推測できる可能性も示された.よって,片麻痺者の在宅における自宅近隣の生活空間拡大のためには,退院時の麻痺側片脚立位の保持時間が一つの目安になることが示唆された.【理学療法学研究としての意義】 片麻痺者の退院時の麻痺側片脚立位と在宅での生活空間との関係性を明らかにすることで,脳卒中などの発症後早期から麻痺側片脚立位の保持能力向上に努めることが,退院後の生活空間拡大の支援に結びつくと考える.
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© 2013 日本理学療法士協会
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