理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-O-03
会議情報

一般口述発表
地域高齢者の「食と運動」による学際的介入が運動継続や主観的健康感に及ぼす影響について
高井 逸史新宅 賀洋千須和 直美春木 敏
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに、目的】高齢者にとって運動を継続することは、日常生活活動を維持し主観的な健康感を向上させる要因とされている。しかし、「健康日本21」最終評価では運動習慣者の伸びはわずかに認める程度であり、運動の継続性がいかに困難であるか、指摘している。そこで、国土交通省の地域再生推進事業「泉北ほっとけないネットワーク」の一環として実施している「食健康サポート部会」における取り組みが運動の継続性や主観的健康感に与える影響を考察したので報告する。【方法】地域在住高齢者44名を無作為に介入群(23名、平均72.4歳)とコントロール(21名、平均69.6歳)群の2群に分けた。介入期間は平成24年6月6日~8月4日であった。介入群には介護予防プログラム「TAKE10!」を用い、管理栄養士による栄養改善講座と理学療法士によるストレッチを中心とした健康体操を実施した。計5回の「食と運動講座」を開催しその日の講座が終了後、昼食を会食した。一方コントロール群は講座には参加せず、昼食は自宅へお弁当を配食した。評価項目については、外出頻度(8件法)、転倒経験、Prochaskaらによる運動行動の変容ステージ(5件法:無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期)、運動継続を評価するため1週間の運動回数(8件法)1日の運動時間(8件法)、主観的健康感(5件法)、運動に対するSelf-Efficacy(以下運動SE、4点~20点)の計7項目とした。第I期をベースライン期、第II期を介入期、第III期を追跡期(1カ月後)として、それぞれに質問紙に記入してもらった。統計学解析は第I期と第II期ならび第I期と第III期の比較にはWilcoxonのT検定を適用し2群間の比較を行った。各期における2群間の主観的健康感と運動SEについてはKrsukal Wallis検定を適用し有意差を認めた場合にはMann-WhitneyのU検定を適用し2群間の比較を行った。有意水準はBonferroni 法で補正した(p<0.025)。統計解析ソフトはSPSS for windows(version 11.0 J)を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】研究目的および測定内容については個別に説明し、研究への協力を得た。介入研究の結果を公表することについても同意を得ている。【結果】両群とも維持期が約70%であった。第I期と第II期を比べると、コントロー群では有意差は認められなかった。介入群では運動回数(p<0.001)、運動時間(p<0.001)とも有意に増加し、主観的健康感(p<0.025)についても増加する結果が得られた。しかし、第III期では有意差は認められなかった。第II期と第III期の両群を比較した結果、主観的健康感ついては、介入群はコンロトール群より有意に大きかった(p<0.025)。運動SEについて、有意差は認められなかった。【考察】本介入研究における対象者の変容ステージは維持期が約70%と、運動習慣が高い方が対象であった。対象を応募する際、自治連合会に依頼し参加募集型方式により対象者を募ったため、運動習慣があり、運動に関心のある高齢者が本研究に参加されたものと考えられる。そのため、2ヶ月の介入期間中たった5回の講座にもかかわらず、介入群の運動頻度や運動時間が有意に増加し、その結果主観的健康感が向上したと考える。しかし、介入終了後の追跡期では有意差は確認できず、運動習慣がある対象者においても定期的に「食と運動講座」を開催し参加を促すことが自覚的健康感の向上・維持には必要であると考えられる。【理学療法学研究としての意義】地域在住高齢者を対象とした健康増進において、管理栄養士との協働により運動継続性や主観的健康感のなどの効果が期待できる点。
著者関連情報
© 2013 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top