理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-01
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ポスター発表
多職種連携の視点からみたFIMと日常生活自立度の関連性について
講内 源太秋元 準子佐藤 斎川口 和樹木下 優子高島 恵
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抄録
【はじめに】2000年より施行された介護保険制度では、介護度の判定を行う際に、「認知症高齢者の日常生活自立度」と「障害老人の日常生活自立度」を一つの評価基準として用いている。これらは、厚生労働省により客観的かつ短時間に判定できる評価法として作成されており、訪問看護指示書にも記載欄が設けられている。しかしながら、臨床においては日常生活の評価法として、一般的にFIM(機能的自立度評価表)が用いられている。FIMは多くあるADL評価法の中でも、最も信頼性と妥当性があるといわれている。このように、介護保険分野と臨床における評価法に差異があることは、多職種での連携を図る上で一つの弊害になると考えられる。また、厚生労働省の方針では病院から在宅への療養環境の切り替えを図るとともに、在宅で関わる多職種連携の推進もしている。このことからも、介護保険分野における「認知症高齢者の日常生活自立度」および「障害老人の日常生活自立度」と、FIMとの関連性を調べ、検討を行うことを目的とした。【方法】2つの訪問看護ステーション・病院・介護老人保健施設の計4事業所を利用されている利用者様より、本研究に同意いただいた28名を対象とし、調査を実施した。調査は4名にて実施した。期間は平成24年4月下旬の1週間にて実施し、調査内容としては、FIM・「認知症高齢者の日常生活自立度」・「障害老人の日常生活自立度」について、それぞれ評価項目に基づき実施した。統計方法としては、FIM合計・FIM運動項目合計・FIM認知項目合計と認知症高齢者の日常生活自立度・障害老人の日常生活自立度の相関について検討した。統計処理はSPSS ver.16.0にてSpearmanの順位相関係数を用い、統計学的有意差判定基準は5%未満とした。【説明と同意】説明書の作成を行い、「研究の目的」「自由意志の尊重」「個人情報、人権の保護」「成果の公表」「問い合わせ先」を明記した。以上のことに同意をいただいた方には署名・捺印をいただき、研究にご協力頂いた。【結果】FIMと「認知症高齢者の日常生活自立度」(r=-0.671)および、FIMと「障害者の日常生活自立度」(r=-0.602)において、それぞれかなりの負の相関が認められた。FIM運動項目と「認知症高齢者の日常生活自立度」(r=-0.543)および、FIM運動項目と「障害老人の日常生活自立度」(r=-0.612)において、それぞれかなりの負の相関が認められた。FIM認知項目と「認知症高齢者の日常生活自立度」(r=-0.797)は、かなり強い負の相関が認められた。FIM認知項目と「障害老人の日常生活自立度」(r=-0.409)は、かなりの負の相関が認められた。【考察】今回の調査結果より、FIMの点数が高ければ、認知症高齢者の日常生活自立度・障害老人の日常生活自立度における自立度も高いランクに判定される傾向にあることが分かった。その要因として、それぞれの評価法の特徴が影響していると考えられる。まず、FIMは、日常生活を構成する必要最低限のADL動作の内容を項目ごとに、個人の能力と介助量を基に判断し、点数化していく。次に、認知症高齢者の日常生活自立度は、ランク1からランクMまでに分類され、ランク1では家庭内及び社会的に自立していることが求められており、以降は家庭内外での症状の出現や周囲との意思疎通の困難さを基に自立度を判定していく。また、障害老人の日常生活自立度はランクJからランクCまでに分類され、ランクJでは独力での外出が求められており、以降は外出の有無や日常生活における介助量、日中の過ごし方により、自立度の判定が行われていく。認知症高齢者の日常生活自立度と障害老人の日常生活自立度は、社会性や社会参加も含む自立度の評価法である。従って、これらの評価法は日常生活における自立度を判定していくものであるものの、社会とのつながりにも着目した広義な自立度の評価法である。このようにFIMおよび2つの日常生活自立度は、ともにADLを評価しながらも後者の方がより広範囲を網羅する尺度となっていることから、日常生活自立度がFIMの結果を包括するような結果になっていることが推察される。【理学療法学研究としての意義】多職種連携の視点から、それぞれの評価法を用いることが円滑に行う一つのきっかけになると考える。広義な日常生活自立度の評価法を用い、利用者様の社会参加も含めた全体像の把握及び共通理解を行った上で、理学療法士がFIMで評価した各項目に関して、多職種との更なる共通認識をもつ。このように、順序を踏むことが多職種連携において、よいのではないだろうか。
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© 2013 日本理学療法士協会
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