理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-S-02
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セレクション口述発表
専業主婦における主観的な身体活動量の信頼性
北川 智美樋口 由美今岡 真和藤堂 恵美子平島 賢一石原 みさ子
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抄録
【はじめに、目的】身体活動量は、死亡率や健康寿命などと関連があり、健康日本21でも健康度の指標の1つとして取り上げられ、把握する必要がある。身体活動量の評価尺度として汎用性が高い質問票の一つに、International Physical Activity Questionnaire(IPAQ)があるが、自覚している身体活動量と実測値に違いがあるのではないかということから、その信頼性・妥当性が研究されている。健康度や身体活動量には性差や就業による違いが報告されているが、専業主婦を対象にした報告はない。非労働者である専業主婦は労働安全衛生法による健康診断の対象外であるが、女性の労働率は50%以下であることから依然、専業主婦の人口は多いと考えられ、専業主婦を対象に健康維持・増進を考える必要がある。そこで本研究は、専業主婦の身体活動量について、質問票と実測値の結果を比較検討することを目的とした。【方法】大阪府と奈良県に居住する専業主婦20名に活動量計およびIPAQ日本語版Short version(以下SV)を配布した。身体活動量の評価は、活動量計(AM-140、タニタ)を用い、測定期間は1週間とした。測定期間中、対象者は毎日、起床時から就寝時までの間、入浴など装着できない場合を除いては常に活動量計を左胸に装着するよう指示した。対象者は、測定7日目にIPAQ日本語版SVに回答した。その後、更なる信頼性を確認するため、測定1日目から7日目の24時間を具体的に書き出してもらい、生活内容を想起させた。その後、再びIPAQ日本語版SVへの回答をさせた。活動量計の測定値とIPAQ日本語版SV2回のそれぞれに結果の差があるかを調べるため級内相関係数を算出した。また、活動量計とIPAQ日本語版SVから得られる活動量を、それぞれ強度別(高強度活動量、中等度強度活動量、座位活動量)に一元配置分散分析を行った。【倫理的配慮、説明と同意】四條畷学園大学倫理委員会の承認の下、全ての対象者に研究目的や方法、個人情報の保護、結果の公表、研究参加による利益と不利益についての説明を口頭および書面にて行い、研究への協力に対して書面で同意を得た。【結果】対象者のうち、2名は測定を完了できなかった。分析対象者18名の特性は、年齢37.2±3.9歳、身長160.5±3.2cm、体重53.2±5.5kgであった。調査1週間の身体活動量は、活動量計の平均値は13590±2017kcal/w、生活内容想起前のIPAQ日本語版SVにおいて4802±1594kcal/w、生活内容想起後のIPAQ日本語版SVにおいて4829±1634kcal/wであり、質問票は実測値を大幅に下回った。活動量計における1日の歩数は5689±3733歩であった。活動量計の測定値とIPAQ日本語版SVとの級内相関係数は、生活内容想起前では0.77(0.49-0.91)、想起後では0.79(0.53-0.92)であった。活動量計の測定値とIPAQ日本語版SVの質問票による身体活動量は、活動量計、想起前IPAQ、想起後IPAQの順に、高強度では84kcal/w・247kcal/w・66kcal/w(p=0.34)、中等度強度は1208kcal/w・705kcal/w・819kcal/w(p=0.13)で、有意差は認めなかった。しかし、座位では3694kcal/w・1518kcal/w・1610kcal/w(p<0.01)であり、実測値の方が有意に高かった。【考察】本研究対象者は国内の同世代女性の平均的な身体活動量を示した。個人差が認められたが、専業主婦は買い物や掃除、子供の送迎などの役割を担う中でその行動範囲が限定されており、居住環境によって身体活動量が異なると考えられる。活動量計の測定値とIPAQ日本語版SV間では高い信頼性が確認された。これは、就業者や健常学生の結果と一致しており、専業主婦においても質問票による調査にて身体活動量を把握できることが確認された。専業主婦の生活は子供や夫の生活に影響されており、毎日繰り返される家事に加え、家族の生活を想起することで活動時間を把握できたのではないかと考えられる。さらに、生活内容想起前後での差はほとんど認められなかったことから、身体活動量の把握には詳細な想起は必要ではないことが示唆された。しかし、強度別の比較において座位活動量は実測値と大きく異なっていた。先行研究において座位時間が長ければ健康に悪影響があると報告されており、座位の活動時間を把握することが大切である。専業主婦は家事の間に短時間の座位・臥位時間が繰り返されており、質問票にはこの結果が反映されなかったのではないかと考えられる。今回把握困難であった座位・臥位時間を正しく把握する方法を検討することが、今後の課題である。【理学療法学研究としての意義】理学療法士が健康増進分野に携わる機会が増えており、生活内での身体活動量把握が必要である。質問票を用いて専業主婦の身体活動量把握が可能であることは確認されたが、座位・臥位活動時間の把握方法検討の必要性が示唆された。
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© 2013 日本理学療法士協会
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