理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-P-21
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ポスター発表
短下肢装具の自己装着に対してストラップホールドを用いた経験
装具装着動作の効率化に向けた取り組み
是竹 奏実山下 和樹岩井 信彦
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抄録
【はじめに、目的】 今回短下肢装具を使用している脳血管障害患者において、装具着脱時に踵部でストラップを踏み、装具の自己装着に時間を要す症例を経験した。その症例に対し装具後面に安価で購入可能なマジックテープを接着し、そこにストラップを一時的に貼り付ける自家製のストラップホールドを使用し装着動作の指導を行ったところ、装着時間が短縮し患者の満足度向上に至った。この経験を踏まえストラップホールドの装着時の満足度に関し調査を行い、若干の知見を得たので考察を加えここに報告する。【方法】 対象は2012年9月の1ヶ月間に当院で理学療法を受け、言語理解可能で座位が自立している脳卒中片麻痺患者で、短下肢装具を日常的に使用し自身で装具着脱が可能な症例である。内訳は脳梗塞1名、脳出血2名、クモ膜下出血1名の計4名で、そのうち右片麻痺2名、左片麻痺2名。発症後1年未満の症例1名、発症後1年以上の症例3名である。装具別ではシューホーンブレース3名、両側金属支柱付短下肢装具1名であり、装具のストラップは装具に対し内側を向いていた症例3名、装具に対し外側を向いていた症例1名であった。方法は各患者の装具装着時間を測定し装着時の満足度を評価した。装着方法はビデオで撮影し評価した。この工程を普段の装具と装具後面にマジックテープを接着し、そこにストラップを一時的に貼り付け装具に踵部を挿入後ストラップを外すというストラップホールドを利用した装具で実施し比較した。なお、満足度の評価は20cmのVisual analog scaleを用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究はヘルシンキ宣言に基づき、患者には本研究の目的、内容について文書にて説明し、本研究で得た情報は本研究以外では使用しないこと、拒否しても一切不利益が生じないことを説明し、同意を得た。【結果】 症例1は装着時間・満足度(長いほど満足度が高い)は工夫前においてそれぞれ1分59秒、12.8cm、工夫後50秒、19.0cmであった。工夫前は足部のストラップが下衣に貼り付いたり、踵部を挿入する際にストラップを踏み込む場面を認めたが、工夫後は改善を認めた。症例2は同様に工夫前31秒、6.0cm、工夫後53秒、16.8cm。症例3は工夫前37秒、14.9cm、工夫後47秒、16.4cm。症例2、3では装着時間は延長したが、満足度は向上を認めた。両症例とも工夫前は踵部を挿入する際に装具を外側に向けストラップを外に開くように装着実施。工夫後は装具を外側に向けストラップを外に開くような動作は減少したが、ストラップを外す際に時間延長を認めた。症例4は工夫前37秒、17.9cm、工夫後42秒、6.8cm。装着時間は延長し、満足度は低下した。工夫後にストラップホールドからストラップを外す際に時間延長を認めた。【考察】 装着時間の短縮は症例1で認め、ストラップホールドの利用により衣服にストラップが貼り付く様子や、踵部を挿入する際にストラップを踏み込む場面がなくなったことが影響したと考える。一方装着時間の延長は症例2~4で認め、ストラップホールドからストラップを外すという手順の増加、またその動作が慣れていないことが原因と考える。満足度に関しては症例1~3の3例で向上を認めた。症例1では装着時間の短縮に伴い満足度も向上したと考える。症例2、3は発症後数年経過しており装着動作は定着していたが、ストラップホールドを利用することでストラップの向きを意識せずに装着が可能となったことが影響したと考える。満足度の低下は症例4で認め、これはストラップホールドを利用することで長年定着していた動作手順に変化が生じ、新たな動作方法に抵抗を示したものと思われる。また全てのストラップは工夫前から装具に対し外側を向いていたため装着動作を阻害する様子を認めなかったことも影響したと考える。赤澤らによると短下肢装具の固定およびストラップを巻く直前までのストラップの保持が装着支援にとって重要であると述べており、今回の結果からもストラップの保持が有効であり、ストラップが装具に対して内側に向きやすい装具使用初期からストラップホールドを利用し装着練習を行うことが特に重要であると考える。大川らによると細かい工夫を装具に施すことで装具着脱が容易になると述べており、装着の自立を目的とした固定台の使用も一つであるが、装具本体に接着することで持ち運びの簡便化が得られ、外出先でも利用可能であり、また誰もが購入可能なストラップホールドを設置することで、患者の生活範囲は拡大すると考える。【理学療法学研究としての意義】 装具使用初期よりストラップホールドを利用し装具装着練習を行うことで、装着時間の短縮、満足度の向上が得られる可能性が示唆された。
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© 2013 日本理学療法士協会
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