理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-O-07
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一般口述発表
TKA術後患者のQOLに影響するJKOMのCut-Off値の検討
岩崎 翼宮本 梓大町 聡福田 潤鈴木 美幸村山 俊樹金子 貴俊芹田 祐
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キーワード: TKA, JKOM, Cut-Off値
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抄録
【はじめに、目的】近年、SF-36を用いた人工膝関節全置換術(以下、TKA)術後患者の健康関連QOLの報告が散見される。SF-36は、身体機能(以下、PF)・日常役割機能(身体)(以下、RP)・体の痛み(以下、BP)・全体的健康感(以下、GH)・活力(以下、VT)・社会生活機能(以下、SF)・日常役割機能(精神)(以下、RE)・心の健康(以下、MH)の8下位尺度を使用し、包括的なQOLを捉えられるとされており、年齢・性別での国民標準値が報告されている。SF-36の特徴として高い信頼性・妥当性の報告があるものの、質問項目が多いこと・ライセンスを要すること・スコアリングの手間などから臨床的に簡便とは言い難い課題を抱えている。またTKA術前後では、Western Ontario and McMaster Universities OA INDEX(WOMAC)や日本版変形性膝関節症患者機能評価表(以下、JKOM)を代表とする疾患特異性のある患者立脚式質問紙が活用されている。特にJKOMは、商標登録もなく容易に入手可能であり、国内で広く使用される評価項目である。JKOMスコアカテゴリーは、膝の痛みの程度(以下、VAS)・膝の痛みやこわばり(以下、Pain)・日常生活の状態(以下、ADL)・普段の活動など(以下、活動)・健康状態について(以下、健康)の5項目からなる。このJKOMを用いた先行研究では、結果の推移に着目したものが多く、目標値について言及している報告は見出せなかった。本研究では、JKOMスコアカテゴリーの総点からTKA術後患者の健康関連QOLを推察できないかと考え、判別分析を用いた検討を実施した。【方法】平成23年5月~平成24年4月の期間に当院にてTKAを施行した患者のうち、術後6ヶ月時のJKOM・SF-36を回収できた73名(男性22名・平均年齢69.8±9.9、女性51名・平均年齢70.6±6.8)を対象者とした。対象者は、年齢・性別に準じたSF-36の国民標準値の平均値を基準として8下位尺度(PF・RP・BP・GH・VT・SF・RE・MH)ごとにそれぞれ2群に分類した。両群の分類基準は、国民標準値の平均値以上を術後改善群(以下、改善群)、国民標準値の平均値未満を術後維持群(以下、維持群)とした。両群を最もよく判別するJKOMスコアカテゴリーを検討するため分類基準を独立変数とした判別分析(ステップワイズ法)を実施した。従属変数は、JKOMスコアカテゴリー5項目(VAS・Pain・ADL・活動・健康)それぞれの総点とした。従属変数が選定された8下位尺度のうち、最も影響度が高い従属変数についてReceiver Operating Characterisitic曲線(以下、ROC曲線)を使用し、Cut-Off値を求めた。統計処理にはSPSSver15.0を使用し、有意水準5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】研究内容について十分に説明をしたのち、同意が得られた対象者にのみ用紙を配布し、回答を得た。【結果】PFでの分類における判別結果はADLがWilksのLambda=0.77、p<0.01であり、Cut-Off値は7.5点・判別的中率は71.2%であった。RPでの分類における判別結果は、ADLがWilksのLambda=0.84、p<0.01であり、Cut-Off値は4.5点・判別的中率は60.3%であった。BPでの分類における判別結果は、ADLがWilksのLambda=0.79、p<0.01であり、Cut-Off値8.5点・判別的中率68.5%であった。SFでの分類における判別結果は、健康がWilksのLambda=0.86、p<0.01であり、Cut-Off値3.5点・判別的中率67.1%であった。GH・VT・RE・MHでの分類における判別結果では、分析に適した従属変数が選定されなかった。【考察】SF-36の国民標準値による分類基準を独立変数とした判別分析の結果から、JKOMスコアカテゴリーのADL・健康による判別が可能であった。特に8下位尺度のうちPF・RP・BPがADL困難感、SFは健康状態の影響を受けていた。このことからJKOMを使用することでTKA術後患者の健康関連QOLが国民標準値に到達しうるか判別できる可能性が示唆された。ROC曲線を用いたCut-Off値からJKOMスコアカテゴリーのADL総点が4.5点以下であれば、8下位尺度のうち、3項目が国民標準値に到達した。このためTKA術後患者の健康関連QOLの目安としてJKOMスコアカテゴリーのADL総点が有用である。判別分析で従属変数が選定されなかったGH・VT・RE・MHは、8下位尺度の中でも心理的・精神的要素の多い項目である。このため疾患特異性があり、日本人の生活様式に合わせて開発されたJKOMだけでは規定することが難しいことが考えられる。本研究からJKOMスコアカテゴリーのADL・健康の総点が、身体活動を伴う健康関連QOLの評価に有用であり、Cut-Off値から患者の健康関連QOLが国民標準値に到達しうるか推察できる可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】TKA術後患者にJKOMを使用することで、患者の健康関連QOLが国民標準値に到達しうるか推察できる可能性がある。また患者還元を含めた臨床応用とCut-Off値を基準とした研究応用が期待される。
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© 2013 日本理学療法士協会
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