理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: D-S-01
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セレクション口述発表
心疾患患者における国際標準化身体活動質問表(IPAQ)を用いた身体活動量の評価
有吉 雄司, 毛利 正博, 高永 康弘, 佐藤 憲明
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キーワード: 心疾患, 身体活動量, IPAQ
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抄録
【はじめに】国際標準化身体活動質問表(IPAQ)はWHOワーキンググループにより作成された汎用性の高い身体活動量の評価法である.村瀬らによりIPAQ日本語版が作成され,その信頼性や妥当性が検討されてきた.更に2011年,村野らにより糖尿病患者によるIPAQの妥当性の検討が報告されており,有用な評価表であることが示されている.しかし心疾患患者における評価については報告がないのが現状である.そこで今回,低体力者が多いと予想される心臓リハビリテーション参加者において,IPAQの有用性を検討した.【方法】対象は当院の外来心リハに参加した20名(男性12名,女性8名,44-85歳:中央値70歳,平均EF 52%±18%,平均PeakVO2 15.3±2.5ml/min/kg)とした. まず対象に加速度計(ライフコーダGS/Me:スズケン社製,以下LC)を1週間装着してもらい,記録される消費カロリーを「LC-EEC(exercise energy consumed)」とした.そして回収の際にIPAQ日本語版を用いて聞き取りで評価を行った.IPAQにはlong versionとshort versionが存在するが,先行研究において両者とも高い信頼性が示されており,今回は簡便なshort versionを使用した.short versionは,「強い身体活動」,「中等度の身体活動」,「10分以上の歩行」についてそれぞれ一週間あたりの日数,および一日あたりの時間を回答するものである.消費カロリーの計算はガイドラインに従い,「高強度の身体活動」に8METs,「中等度の身体活動」に4METs,「10分以上の歩行」に3.3METsを割り当て,回答で得た“時間(分)”と“日数”を乗じ,“MET-minutes/週”を割り出し,酸素摂取量1000ml=5kcalを用いて算出し,得られた値を「IPAQ-EEC」とした.また同様にガイドラインに従いカテゴリー分類(1 Low,2 Moderate,3 High)を行った.カテゴリー分類は運動を行った日数,運動時間,身体活動の各強度の組み合わせの有無により規定されている. 結果の検討について,まず対象の特性を検討するために,得られた回答について,MET-minutes/週における「10分以上の歩行」の割合を算出した.また,妥当性の検討として,LC-EECとIPAQ-EECの相関について検討した.さらに,LC-EECとIPAQ-EECの誤差について分析を行うため,IPAQ-EEC/LC-EEC比(以下I/L比)を算出し,カテゴリー間で差があるかどうかを,t検定を用いて検討した.【説明と同意】本研究は,対象者に対し書面により同意を得,ヘルシンキ宣言を遵守して行った.【結果】MET-minutes/週における「10分以上の歩行」の割合は平均81%(55~100%)であった. また妥当性の検討ではLC-EECとIPAQ-EECの間にr=0.741(p<0.05)の強い相関が示された.I/L比は平均172±87%で,20例中13例が20%以上の上方修正であり,IPAQ-EECは過剰評価にある傾向であった.更にカテゴリーとI/L比について検討した結果,1 Low(n=7)では110±78%,2 Moderate(n=10)では188±80%,3 High(n=3)では265±27%となり,1-2間ではp=0.056,2-3間ではp=0.025,1-3間ではp=0.056であった.【考察】今回の対象は心血管疾患を有しており,「10分以上の歩行」によるカロリー消費の割合は平均81%であり,身体活動は低強度のものが中心であった.また,若年者を対象とした先行研究において,IPAQ日本語版short versionは高い信頼性を有しているものの,妥当性についてはLC-EECとIPAQ-EECの相関係数はやや低い傾向であった.一方,糖尿病患者を対象とした村野らの報告や,心血管疾患を対象とした本研究においては高い相関を示した.これは対象が内部疾患を有していることや,比較的高齢であることなど対象特異的な要因が存在する可能性が考えられる. また,カテゴリー別での検討により,「よく動いている」と回答した者ほどI/L比が大きいことが示されたが,その要因としても低体力が挙げられる.すなわち,今回の対象者の平均PeakVO2を換算すると約4.7METsであり,計算に用いるMETs(3.3,4,8)は過剰である可能性が示唆される.総じて,IPAQは心リハにおいて,有用な評価表であることが示唆されたが,計算で用いる場合は得られた値が過剰評価となる傾向があるため留意する必要がある.過剰評価の原因の一つとして計算に用いるMETsが挙げられるため今後更なる検討が必要である.【理学療法学研究としての意義】心リハ対象者におけるIPAQの妥当性,および留意すべき傾向を示した.IPAQは国際比較できる簡便で有用な身体活動量の評価法であり,心リハでの大規模な運用は公衆衛生上非常に重要であると考えられ,本研究はその一助となることを望んでいる.
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© 2013 日本理学療法士協会
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