抄録
【はじめに、目的】2011年3月11日におこった東日本大震災は,東北地方に甚大な被害をおよぼし,2年弱が経過した今もなお,被災地に深い傷跡を残している.この震災をきっかけに,何をすべきか模索しながら支援ボランティアに参加した理学療法士も多い.今回,リハビリテーション職種がどのような支援活動を展開したのか,また,継続して活動を行っているのか,アンケート調査を行い明らかにしたのでここに報告する.尚,この研究は文部科学省の研究助成金の補助を受けて実施した.【方法】東日本大震災で支援活動を行った理学療法士(以下PT),作業療法士(以下OT),言語聴覚士(以下ST)37名に対し,郵送によりアンケート調査を実施した.質問項目は「東日本大震災支援活動に関して」とし,活動内容の詳細を聞く内容とした.選択および記入形式をもちいて実施し,集計は,Excelp2010を使用し行った.【倫理的配慮、説明と同意】国際医療福祉大学倫理審査委員会の承認を得てから実施した(承認番号12P-11).対象者には事前に連絡を取り,了承を得てアンケートを郵送し,調査を実施した.【結果】17名(45.9%)より回答を得た.回答者の64.7%がPT,29.4%がOT,5.9%がSTであった.アンケート結果より,35団体3000人前後の療法士が今回の支援活動に参加しており,そのうちの17%がPT協会,OT協会,ST協会から,また17%が保健所や福祉事務所といった行政からの派遣であった.残りは,県士会,任意団体,大学,病院,NPO等であった.88.3%が他職種とのチーム派遣であった.支援開始時期は,災害フェーズ1期~4期まで幅広くみられるが,40%の団体が発災4日目~1か月末の第2期からの活動であった.活動場所は,1期は避難所が主であり,その後2期は避難所に加え個人宅,3期は保健所や二次避難所,仮設住宅,集会所と広がり,4期は施設での活動が加わっていた.活動県は宮城県・岩手県・福島県の3県であった.団体の54.5%が1日6~10名を対象に活動を行っており,支援対象者は女性が多いと81.2%の療法士が答えている.支援の際,東北地方独自の文化を感じた療法士が81.2%おり,具体的な内容は,男女や職業による差,地域のつながり等であった.具体的な支援内容に関しては,17.5%が生活不活発病予防,16.2%が住環境に対するアプローチ,16.2%が自主トレーニングの指導であった.その他,健康体操,疾患患者へのリハビリテーション,健康相談と幅広い活動を行っていた.35団体のうち,25%が現在でも活動を継続して行っている.【考察】今回,支援活動に3000人前後が参加し,PT,OT,ST数が146071名(2012)であることから全体の約2%の療法士が支援活動に参加したといえる.回収率の高さからも震災支援への意識が高いことがうかがわれた.支援活動は主に協会と行政の協力体制で行われ,被災混乱期である1期よりも応急的な修復段階である2期からの介入が多くみられた.1期はトリアージなど救急救命,治療や後方移送,情報収集,ニーズの把握が主な活動だといわれている.よりリスク管理に習熟した療法士が必要となることから,今回の活動では参加した療法士が少なかったことが予測された.今後関連十団体により組織化される災害リハ支援チーム(DART)に向けて,リスク管理等の研修を行っていく必要があると考えた.2期は88.3%が他職種との協同やチーム派遣であり,避難所や個人宅での活動が主であった.職種間の密接な連携が重要と考えられ,それぞれの職種がどのような支援を行えるのかお互いや周囲に伝え,理解していくことが必要と考えた.災害フェーズそれぞれの期の支援活動場所が変化することから,対象者も避難所から自宅や仮設住宅に移り,継続的な関わりが難しくなることが考えられた.必要な方により長くリハビリテーション職種が関わっていけるよう,スムーズに申し送りができるような工夫も今後必要と考える.また,男性や家に閉じこもりがちな被災者,東北独自の文化などに対し,今回の支援活動で行った工夫を今後の活動に生かせるようにまとめ,具体的な支援活動内容とともに伝えていけるよう調査活動を継続して行っていきたいと考えている.【理学療法学研究としての意義】本邦の災害リハ研究の足がかりとなる調査の第一報であると考える。全国的な災害リハビリテーション支援の研修会を行う場合、I期:緊急時対応、II期:職種間連携、III期、異文化理解と年齢特性の理解など、期別カリキュラムを含めることや、文化に対応可能なように全国に拠点をおいたより多くの療法士が参加できる研修体制を整えることなどが必要ではないかと考える。