理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-P-44
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ポスター発表
ACL損傷者の再建術前の患側・健側間での足部アライメントの相違
奥井 友香福原 隆志川越 誠
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抄録
【はじめに・目的】 スポーツ場面で多く発生し,重篤な傷害である前十字靭帯(以下ACL)損傷の危険因子として,近年様々な因子が挙げられている.解剖学的因子として,股関節・膝関節のアライメントに関する報告はされているが,足部に関する報告は少ない.ACL損傷は非接触による受傷が多いと報告されており,特にストップ動作やジャンプ着地,カッティングなどで多い.これらの動作において,足部の機能は股関節・膝関節と同様に重要である.我々は,治療現場においてACL再建後の症例で,健側よりも患側において足関節背屈ROMの減少や,内側縦アーチの低下などの足部アライメント不良を経験することがあった.このアライメント不良はACL損傷時よりみられたものなのか,再建後の治療過程において生じたものなのかを明らかにすることを本研究の目的とした.【方法】 対象は,過去3ヶ月以内にスポーツ時に片側非接触型ACL損傷を呈した女性10名とし,患側10足,健側10足の計20足を測定対象とした.対象者の平均年齢は18±6.7歳,受傷足はRt 6名,Lt 4名であった.測定時期は,受傷後痛み無く全荷重が可能であり,ACL再建術前とした.測定項目は,Forefoot angle,Navicular drop test(以下NDT),Leg Heel Angle(以下LHA),足関節背屈ROM,下腿前傾角,膝関節のアライメントとして膝外反角(lange肢位)とした.LHA,下腿前傾角,膝外反角はランドマークをつけた画像を撮影し,画像解析ソフトにて角度を算出した.画像解析にはMedia Blend(DKH社製)を使用した.健側と患側の足部・膝関節アライメントに差がみられるか比較・検討した.統計学的解析にはSPSS(17.0)を使用し,2群間の各測定項目の差の検定には対応のないt検定を用いた.【倫理的配慮・説明と同意】 対象者には研究の目的と内容,個人情報保護についての説明を行い,同意を得た上で研究を行った.【結果】 測定項目において,健側・患側間で差はみられなかった.それぞれの平均値は,Forefoot angle(内反角)健側10.1±3.0°,患側8.5±1.3°,NDT健側0.81±0.39cm,患側0.87±0.29cm,LHA健側7.1±3.6°,患側6.3±3.3°,足関節背屈ROM健側19.4±6.2°,患側19.9±5.0°,下腿前傾角健側38.4±8.4°,患側36.7±8.4°,膝外反角健側151.9±15.9°,患側156.3±12.5°であった.【考察】 本研究結果より,ACL再建前の健側・患側間の足部・膝関節アライメントの差はみられなかった.これは,各測定項目において個人差が大きかったことも1つの要因として挙げられるが,健側と患側の足部・膝関節アライメントは受傷時には大きな差がないことが考えられる.このことより,治療現場においてACL再建後の患側・健側間の足部アライメントの違いは治療過程において生じている可能性が考えられる.足部アライメントは膝関節アライメントに影響を与え,ACL再建者のスポーツ復帰の遅延や再断裂リスクの増大に関与する可能性がある.今後は,経時的に対象者の再建後の足部アライメントを測定し,足部アライメントの変化を観察していくことが課題である.再建後に健側と患側で足部アライメントに差が生じるのか,再建後のどの段階でアライメント不良を生じやすいかを検証していきたいと考える. 【理学療法研究としての意義】 ACL再建前には足部アライメントに健側と患側では大きな差はみられず,再建後の治療において足部アライメントに注目することは重要である.さらに本研究の限界として,対象者は受傷後であり,受傷前の足部アライメントは推測の域であり,今後は前向き研究が重要となってくる.
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© 2013 日本理学療法士協会
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