理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: B-P-07
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ポスター発表
軽度運動障害児における頭部立ち直り角度・側方リーチング距離と片脚立ち能力の関係
網本 さつき
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抄録
【はじめに、目的】発達障害の分野において側臥位は、治療肢位として臨床的に用いられるが、評価としては尺度化されたものはない。今回、側臥位での頭部立ち直り角度と肩甲帯の安定性、側方リーチング距離および片脚立ち能力の関係を調べ、知見を得たので報告する。【方法】対象は3歳4ヶ月から24歳6ヶ月の発達障害、脳性麻痺、その他15名(男性13名、女性2名)。対象者のGMFM総合点の平均は、91.5点(最大100 最小81)であり、全てGMFCSレベル1および2に属していた。他動的頚部側屈可動域・側臥位での頭部立ち直り角度・肩甲帯の安定性・側方リーチングテスト・片脚立ち能力を測定した。頭部立ち直り角度は、床面を基準軸として測定し、肩甲帯の安定性は独自に作成した尺度を用いて測定した。側方リーチングテストはBartlett D等によるPediatric Reach Testを参考に3試行の平均値を採用した。立ち直り角度は他動的可動域における割合を、リーチング距離は身長で除した値(リーチ指数)を使用した。肩甲帯安定性と頭部立ち直り角度および側方リーチ指数はそれぞれ一元配置分散分析を用いて相関を求めた。立ち直り角度の割合とリーチ指数は、回帰分析を用いて統計学的処理を行った。また、片脚立ち能力の左右差と立ち直り角度、リーチ指数との関係を調べた。【倫理的配慮、説明と同意】発表にあたり、本人および家族に本研究の内容について説明し文書にて同意を得た。また、本学の研究倫理講習会の内容を厳守して研究を行った。【結果】1.他動的頚部側屈可動域の制限は、15名中両側10名、右側2名、左側2名に見られた。2.肩甲帯の安定尺度と立ち直り角度の割合の平均値は、安定群で91.2%(n=5)、やや不安定群で57.9%(n=15)かなり不安定群23.8%(n=10)となり、グループ間1%水準で有意差が得られた。3.肩甲帯の安定尺度とリーチ指数のあいだには、相関はみられなかった。4.立ち直り角度の割合とリーチ指数の回帰分析では、重決定R2は、左で0.312、右で0.324で相関は見られなかった。5.左右の片脚立ち能力と立ち直り角度の割合、リーチ指数は、両者とも15名中14名が一致していた。【考察】側臥位における頭部の立ち直り角度は、同側の肩甲帯の安定性を示し、片脚立ち能力の左右差を推測できると考えられた。しかし、リーチング距離を予測することはできないと考えられた。【理学療法学研究としての意義】臨床において側臥位における運動能力の評価は見当たらない。GMFMにおいても軽度運動障害の場合「A臥位」の項目は、満点となり臥位での本質的な問題点を見出すことは難しい。一方でBobath法やVojta法では側臥位での治療的介入が行われている。一般的に独歩を獲得すると理学療法は終了になる場合が多いが、日常生活や学校生活場面でバランス上の課題がないわけではない。今後も、側臥位における頭部の立ち直り能力と粗大運動能力の関係を継続して調べてゆく必要がある。
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© 2013 日本理学療法士協会
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