理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
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パネルディスカッション
勤労者世代を対象とした予防領域での他職種共同参画の模索と将来展望
中谷 淳子
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p. C-24

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抄録

 2018 年6 月29 日,働き方改革関連法案が可決し,働き方改革実行計画がいよいよ本格的に動き出す。長時間労働の是正や治療と仕事の両立をはじめ,各々の計画において産業保健にかかる期待は大きく,第13 次労働災害防止計画においても産業医・産業保健機能強化の重要性が述べられている。また,2010 年頃より元は米国で広がった健康経営が日本にも取り入れられるなど,近年働く人々の健康確保対策は政府・経済界にとって重要事項となっている。

 働く人々の健康確保対策には,企業の人事労務担当者や健康保険組合も重要な役割を持つが,特に中心的な役割を果たすのが産業保健を専門とする保健医療職である(以下産業保健スタッフとする)。産業保健スタッフは,産業医を中心に看護職(以下産業看護職とする),衛生管理者,時に臨床心理士や健康運動指導士,管理栄養士等から成る。産業看護職は産業保健スタッフの中で労働者の最も身近な立場にあり,労働者の個別・集団・組織ニーズに応じて,支援するスタッフをきめ細かにコーディネートする役割がある。

 産業看護職が携わる仕事は,安全で快適な職場環境づくり,作業による身体負荷の軽減策提案,健康保持増進対策,休職者の復職支援(障害が残った社員の就労支援も含む),治療と仕事の両立支援など多域に亘るため,いかに多くの社会資源や専門家と繋がり的確な支援を提供できるかが腕の見せ所のひとつでもある。これらの活動は,労働者の高齢化に伴い益々重要性を増しており,理学療法士の専門性に期待されるものは大きいと考える。今回,我々産業看護職が直面している具体的な課題や活動を紹介し,理学療法士との共同について各パネリストの先生方,参加者の皆様と考えてみたい。

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© 2019 日本理学療法士協会
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