臨床美術ジャーナル
Online ISSN : 2758-3457
Print ISSN : 2187-316X
事例報告
ASD児とTD児における制作場面を通した相互交渉における語りの特徴と快の感情的変化
―臨床美術アートプログラムを通しての事例報告―
安齋 章子
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ジャーナル 認証あり

2024 年 13 巻 1 号 p. 43-49

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抄録

本研究では,ASD児とTD児を対象に臨床美術アートプログラムを個別に行い,快の感情の変化と相互交渉における自発的な語りの特徴について,探索的に検討した事例研究である。その結果,感情の変化についてはASD児とTD児も「親和」の感情が増加する傾向が見られた。この結果は,安齋・上村(2023)1)の大学生を対象にした臨床美術アートプログラムを通した感情の変化について対象者すべてに「親和」の感情が増加する傾向が見られたことと同様であった。安齋・上村(2023)では,大学生における語りの内容と快の変化において,1)①自己と他者(家族)の語りのグループにおいて「非活動的快」の増加,2)②自己と他者(友人),③自己と感覚(感じ方・自然など)の語りのグループにおいて,「非活動的快」「活動的快」の増加,3)④自己(好きなこと・考え)の語りのグループにおいては「活動的快」の増加,の3つのグループに分けられた。本研究においては,TD児では,大学生で多く見られたグループである,2)②自己と他者(友人)「非活動的快」「活動的快」の増加が見られた。ASD児では,大学生では稀に見られたグループである,3)④自己(好きなこと・考え)「活動的快」の増加が見られた。尚,ASD児においては継続的な介入により,語りの内容に変化が見られた。

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© 2024 臨床美術学会
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