2008 年 48 巻 2 号 p. 125-129
複雑部分発作にて来院した81歳女性である.頭部MRI拡散強調画像で右側の大脳皮質・視床に高信号病変,脳波で周期性一側性てんかん発射(PLEDs),脳血流シンチで同側の血流増加をみとめた.治療血中濃度域にあったものの,2カ月前より内服していたテオフィリンによる痙攣と診断.同薬剤を中止して病状は改善した.その後,2日間の下痢を生じた後よりふたたび部分発作が出現した.血清ビタミンB6が測定感度以下であり,混合ビタミンB製剤の投与にて痙攣はすみやかに消失した.テオフィリン投与下では血中濃度に関係なく痙攣を誘発しうること,およびテオフィリン関連痙攣の症例ではビタミンB6欠乏状態が存在しうることに留意すべきである.