臨床神経学
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症例報告
妊娠18週で遺伝子組み換え組織プラスミノゲンアクチベーター(recombinant tissue plasminogen activator:rt-PA)静注療法を施行された脳塞栓症の1例
山口 裕子近藤 孝之猪原 匡史川又 純福山 秀直高橋 良輔
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キーワード: 脳梗塞, 妊娠, rt-PA静注療法
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2010 年 50 巻 5 号 p. 315-319

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抄録

36歳妊娠18週女性に遺伝子組み換え組織プラスミノゲンアクチベーター(rt-PA)静注療法をおこない母児共に良好な経過をえたので報告する.患者は運動性失語と右不全麻痺を突然発症し約30分後当院に救急搬送された.来院時のNIHSSは6点,頭部MRAで左中大脳動脈分枝の閉塞とMRI拡散強調画像により同血管支配領域の脳梗塞と診断された.発症約2.8時間後rt-PAを経静脈投与され症状はほぼ消失し,独歩で退院した.周産期はヘパリンで抗凝固療法を続け,脳梗塞の再発なく正常満期産を経て母児共に健康である.妊婦へのrt-PA投与は未だ安全性が確立されていないが利益と危険性を考慮のうえ選択肢に加えるべきである.

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© 2010 日本神経学会
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