臨床神経学
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症例報告
Capsular warning syndromeを呈したbranch atheromatous diseaseの1例
田口 芳治高嶋 修太郎温井 孝昌道具 伸浩豊田 茂郎田中 耕太郎
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2010 年 50 巻 5 号 p. 320-324

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抄録

症例は54歳,男性である.朝起床時より右片麻痺を自覚し当院に搬送された.来院時構音障害と右完全片麻痺をみとめ,NIHSSは12点であったが,検査施行中に症状は完全に消失した.その後,アスピリンとヘパリン投与をおこなったが,同様の脳虚血発作を一過性にくりかえし生じたため経静脈的血栓溶解療法を施行し,さらに,スタチンの投与と低分子デキストランの点滴静注を追加した.頭部MRI拡散強調画像で左被殻から放線冠に淡い高信号域をみとめ,MRAでは異常所見はなかった.来院22時間以降,脳虚血発作は消失し,退院時には後遺症のない良好な転帰をとった.本例はCapsular warning syndromeを呈したBranch atheromatous diseaseと考えられ,t-PA,低分子デキストランをふくめた多剤併用療法が有効であった.

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© 2010 日本神経学会
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