2010 年 50 巻 5 号 p. 325-328
症例は65歳の男性である.脊髄症を主体とした神経障害が慢性進行性に発症した.髄液検査,電気生理学的検査,MRI所見,神経生検の結果から本症例の病変は大脳から末梢神経にまでいたる脱髄病変と考えた.ステロイド,免疫グロブリン大量療法(IVIg)が有効で単相性に経過した.本症例は何らかの免疫機序により中枢神経と末梢神経の両方に脱髄性病変が生じたEncephalo-myelo-radiculo-neuropathyと診断したが,これまでの報告とことなり慢性進行性の経過をとった点が特徴的であった.