抄録
約 20 年の競技用自転車の愛好歴のある63 歳男性が,亜急性に進行する頸髄症による後頸部痛,両上肢の運動障害,痙性歩行を生じた.MRI では,頸椎最上部の環軸椎後方部に腫瘤をみとめ,頸髄上部を圧迫していた.骨腫瘍,骨髄炎,リウマチ疾患を示唆する所見はなく,歯突起後方の偽腫瘍と診断した.腫瘤摘出をともなわない椎弓切除術のみを施行した.その後,神経症状は軽快し,1 年後の MRI では腫瘤は軽度縮小していた.本疾患は,環軸椎靭帯の慢性的な機械的刺激による靭帯肥厚が発生要因と推定されており,除圧術のみにより頸髄の圧迫が軽減され症状の改善が期待できる.