2019 年 59 巻 7 号 p. 442-447
症例は69歳男性.数年前より易怒性が出現し,某日夜間に左上下肢より始まる全身痙攣で救急搬送.頭部MRI-FLAIRにて右側頭極,両側扁桃体・海馬,右島皮質の異常高信号があり,頸部腫瘍の存在から傍腫瘍性辺縁系脳炎と診断した.抗てんかん薬にて鎮痙し第20病日に退院した.頸部腫瘍はリンパ節生検結果より転移性の神経内分泌癌(neuroendocrine carcinoma; NEC)と考えられていたが,第325病日目の頸部郭清術後に顎下腺由来の頸部原発NECと診断された.死亡後に血清抗amphiphysin抗体が陽性と判明した.頸部原発NECも傍腫瘍性辺縁系脳炎をきたしうる.