抄録
先行刺激(プライム)に接触すると、意味的に関連する後続刺激(ターゲット)に対する反応は促進される。この意味プライミング効果は、一般に文字刺激を用いて検討される。本研究では、プライムを画像としたときに、文字ターゲットに対する反応にプライミング効果が生じるかどうかを検討した。各試行では、観察者にプライム画像を提示した後に、ターゲットに対する語彙判断課題を求めた。ターゲットは、プライム画像の基本語(基本語条件)、プライム画像と意味的に関連する語(関連あり条件)、プライム画像と意味的に関連しない語(関連なし条件)、無意味語の4種類であった。実験の結果、基本語条件と関連あり条件における反応時間は関連なし条件より短かった。したがって意味プライミングが認められた。以上の結果に基づき、画像による物体認知過程と意味ネットワークの関係について議論する。