抄録
本研究では,触覚刺激とは異なる特徴を持つ視覚刺激が,同じ位置に呈示された触覚刺激の判別成績にどのような影響を与えるのかを検討した。協力者は2種類の異なる粗さを持つ耐水ペーパーを左右の手に呈示され,その粗さの弁別を行うように教示された。協力者が触覚刺激の判別を行う間,視覚刺激としてピクセル数の異なる2種類のホワイトノイズが耐水ペーパーと同じ位置に呈示されていた。粗い耐水ペーパーとピクセル数が大きいホワイトノイズが同じ位置に呈示された場合を「一致」条件,粗い耐水ペーパーとピクセル数が小さいホワイトノイズが同じ位置に呈示された場合を「不一致」条件とした。このとき,一致条件での触覚刺激の粗さの判別成績は不一致条件に比べて有意に高かった。これらの結果は,視覚と触覚に呈示される刺激が異なる物質であるにも関わらず,同じ位置に呈示された視覚情報の影響を受けて触覚の知覚が変化していることを示唆している。