日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第5回大会
セッションID: p3-007
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ポスター発表
ニオイの偶発学習に及ぼす言語ラベリングの影響
*干場 美紀
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抄録
本研究は,偶発学習によってニオイを記憶する際の言語ラベリングが記憶パフォーマンスに影響するかどうかを検討した。(1)ニオイの提示ごとに同定・命名を求める条件(ラベル生成群),(2)ニオイとニオイ物質の名称を対提示し,ニオイと名称の一致の程度を評定する条件(ラベル提示群),(3)ニオイの提示ごとに主観的強度の回答を求める条件(強度評定群),の3条件に異なるカテゴリー(食品・日用品・精油)のニオイを提示し,2分の保持インターバル後にターゲット刺激とディストラクタ刺激の再認を求めた。再認終了後,ニオイ経験の有無,強度と快‐不快の評定を求めた。結果は,ラベル生成群がラベル提示群と強度評定群よりも有意に高い再認成績であった。また,ニオイ物質のカテゴリーは親近性の高い食品のニオイが有意に高い再認成績を示した。これより,ニオイの記憶にはニオイへの言語ラベリングの付与よりもむしろ,能動的なラベルの生成が重要であることを示唆した。さらに,ニオイ経験があるにもかかわらずニオイ物質名称の親近性が低い場合の再認成績が低かったことより,ニオイの短期再認にはニオイとニオイ物質名称の適切な連合の必要の可能性が考えられる。
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© 2007 日本認知心理学会
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