日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第5回大会
セッションID: o2A-3
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口頭発表
基本語順文とかき混ぜ文の比較による格処理の神経基盤の検討
*大槻 亮森藤 大地小川 健二乾 敏郎
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抄録

日本語文は,名詞と助詞の言語情報のチャンク化により格を構築し,格を基礎に構文解析されている.本研究では,基本語順文(SOV文)とかき混ぜ文(OSV文)の理解時に活動する脳部位を比較し,格処理に関わる神経機構を検討した.各々文節毎に継時提示した後,絵を提示し,それが文の意味と同じか否かを判断させた.提示時間は,各文節3~5秒,絵3秒であった.OSV条件をSOV条件と比較した時,有意な活動は第1刺激時では見られないが,第2刺激時には左内側BA6/8で,第3刺激(動詞)提示時には左BA44/45で見られた.逆に,SOV条件をOSV条件と比較した時,活動はいずれの時点でも見られなかった.これらの活動は,日本語においてかき混ぜ文の方が基本語順文と比べ典型性が低いための活動と考えられる.左内側BA6/8はイメージ生成や目的語の保持のために活動し,左BA44/45は構文解析のために活動したと示唆される.

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© 2007 日本認知心理学会
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