日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第5回大会
セッションID: o1A-4
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口頭発表
行為を伴ったエピソード記憶の検索プロセスの検討
*増本 康平須谷 康一山口 雅彦外池 光雄
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抄録

ある行為文(「コップをもつ」)を憶える際に、言葉だけで憶える(言語条件)よりも実際にその行為を行いながら憶える(実演条件)方が、記憶成績は優れている。なぜこのような差が生じるのかについて、これまで機能的脳画像研究から、運動野と関連した運動感覚情報や頭頂葉と関連した運動表象の処理が、行為を伴った記憶の検索に関与していることが示されてきた。しかしながら、運動感覚情報や運動表象といった処理がどの順序で行われているのかを検討した研究は報告されていない。そこで本研究では、時間分解能に優れた脳磁図(MEG)を用いて、脳内活動の時間的な変化を実演条件と言語条件で比較することにより、行為を伴ったエピソード記憶の検索プロセスを検討することを目的とした。実験の結果、運動野の活動が頭頂葉の活動よりも早い段階でみられ、運動感覚情報が実演条件と言語条件で異なった検索プロセスを経るトリガーとして機能している可能性が示唆された。

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© 2007 日本認知心理学会
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