抄録
本研究は,快感情と不快感情が有効視野の変化に及ぼす影響に違いについて明らかにすることを目的とした。実験では写真刺激を用いて感情を喚起した。実験参加者の課題は,写真刺激が提示された後,パソコン画面の中心に提示されるアルファベットの弁別課題を行いながら,画面の四隅のいずれかに提示される数字を同定することであった。実験の結果,不快感情を喚起した場合は数字の同定率が低下したが,快感情を喚起した場合はそのような影響はみられなかった。このことから,不快感情が喚起されると有効視野が狭まるために,数字を同定しにくくなったことが示唆された。