ラバーハンドイリュージョン(RHI)とは,ゴム手に対する触刺激を観察するのと同時に被験者に同様の触刺激を与え続けると,呈示されたゴム手がまるで自分自身の手のように感じ,自己手の主観的位置が移動する錯覚現象である。先行研究では,統合失調症患者ではこのRHIが起きやすいことが報告されており,統合失調症の自他帰属障害がRHIに表れる可能性が示唆されている。そこで本研究では,統合失調症症状と類似した体験をしやすい健常者の中でのパーソナリティである「統合失調型パーソナリティ」とRHIの関係について検討した。その結果,先行研究と同様に統合失調型パーソナリティ傾向が高くなるにつれてRHIが起きやすくなることが示された。