抄録
本研究は,愛着の内的作業モデル (Internal Working Model; IWM) の2次元とされる「見捨てられ不安」と「親密性の回避」(Bartholomew & Horowitz, 1991)を測定するIAT (Implicit Association Test; IAT; Greenwald, McGhee, & Schwartz, 1998) を作成することを目的とした。これまで,愛着のIWMの測定には質問紙が用いられてきたが,愛着のIWMは個人で意識されることのない素朴理論と考えられ,質問紙で測定することが妥当であるかについては疑問が残されている。そのため,潜在的な指標を用いたIWMの測定は,今後の愛着研究に新たな理論的発展の可能性をもたらしうるし,これまで得られてきた知見の見直しを迫る可能性もある。本研究では,大学生および大学院生を対象に予備調査を行い,それぞれのIATの刺激語を決定した。今後は,このIATを用いた研究を進めていく計画である。