抄録
本研究では,身体動作が記憶に及ぼす影響について検討した。参加者は,非利き手の腕を屈曲(ポジティブ動作条件)または伸展(ネガティブ動作条件)させ,同時に提示されたポジティブおよびネガティブな漢字を利き手で書き取るように教示された。その後,参加者は漢字の再認課題を行った。その結果,ネガティブ動作条件では,ネガティブ漢字の再認数がポジティブ漢字よりも有意に多かった。一方,ポジティブ動作条件では,ポジティブ漢字とネガティブ漢字の再認数の間に有意な差は認められなかった。また,ポジティブ漢字の再認数は,ポジティブ動作条件よりもネガティブ動作条件で有意に多くなる傾向が認められた。一方,ネガティブ漢字の再認数および正答数は,平均値ではポジティブ動作条件よりもネガティブ動作条件で多かったが,有意な差は認められなかった。結論として,身体動作と刺激間の整合性が記憶量に影響を及ぼすことが示唆されたと言える。