抄録
本研究は,児童がメディアに普遍な特性を学ぶことが,ウェブ情報に対する批判的思考(技能)や批判的思考(態度)にどのように影響するのか,授業実践を通して検討することを目的に,児童を対象とした質問紙調査(調査1)と,教師を対象としたインタビュー調査(調査2)を実施した。その結果,児童が「メディアというものは単に現実を伝達したり反映したりしているのではない」というメディアに普遍な特性を学ぶことで,①「書き手」としての発信者を確認する批判的思考(技能)の活用に関する意識の向上や,②情報そのものよりも情報の送り手や受け手について捉えようとする批判的思考(態度)を育むことにつながる可能性が示唆された。