抄録
1週間前の夕食メニューを想起することを大学生に求めた。得られた記述内容(想起内容,想起方略,想起の感想)を分析し,想起内容をもとにして完全忘却から完全想起までの5タイプに分類した。タイプ化により「該当日の特定」→「夕食の前の出来事の想起」→「夕食の場面の想起」→「夕食のメニューの想起」という普遍的な検索プロセスがあることが示唆された。また,想起方略から,想起成功者も想起失敗者もともに同様の方略を用いているが,忘却が生じるかどうかは,どの段階まで検索プロセスを進められるかによることが明らかにされた。