抄録
本研究では,Ellsberg (1961)の2色問題のパラダイムにおける曖昧性 (Ambiguity)のみに焦点を当て,コントロール感 (自己選択か他者選択か)の違い,あるいはリスク性との比較の有無によって確率判断にどのような影響を与えるか検討した。曖昧性の評定は,黒赤の分布がわからない,30個:70個の分布ではそれが逆転する結果となった。また黒赤が10個:90個の分布ではコントロール感の効果が現れなかった。リスク性との比較がない場合における曖昧性の評定をベースラインと考えると,比較がある場合の方がそれよりも高い成功確率が期待されたことがわかる。これは比較無知仮説を支持しない証拠を提供するものと考えられる。