抄録
画像認証とは,利用者が思い出の写真等を予め登録しておき,認証時にそれをディストラクタ画像の中から正しく選び出すことにより,容易かつ堅固な認証を実現する新しい本人認証システムである.しかし,システムの強度が登録画像の特性に大きく依存するにも関わらず,実際にどのような画像が登録されうるか,また,画像選択にどのような心理的要因が影響を及ぼすかは未だ明らかにされていない.そこで本研究では,実験参加者(大学生)に擬似的に認証画像の登録を求め,その後,個別の画像について登録の意思や自己評価を尋ねる質問紙調査を行った.その結果,画像を登録する意思には,登録画像の認証画像としての主観的な適切性,登録への抵抗感,画像への愛着,自分の登録画像であることの認識容易性といった要因が影響することが示された.画像認証システムの強度向上と普及には,登録への抵抗感の低減と,認証システムイメージの周知が必要だと考えられる.