抄録
【はじめに】動詞には意志動詞と無意志動詞といった意図的動作の有無による分類がある.本研究では,ワーキングメモリ容量の違いと動詞操作の関係を検討した.【対象】右利き健常成人28名.平均年齢22.46±3.26.Reading Span Testにより,High群,Middle群,Low群に分けた.【方法】60sec以内に,刺激語(名詞)と関連がある動詞を出来るだけ多く答える.被験者には内的表象で関連付け可能である動詞の生成を求めた.【分析】(1)生成語数を独立変数とした1要因分散分析および事後検定を行った.(2)意志動詞および無意志動詞の生成語数比率に対し1要因分散分析を行った.【結果】(1)High群と他群の生成語数で統計学的に有意差を認めた(p<.01).(2)Low群がHigh群に比べ無意志動詞の生成比率が有意に多かった(p<.05).【考察】無意志動詞の生成語数比率の違いから,High群がLow群に比べ1人称的視点による動作の内的表象能力に優れていることが示唆された.