抄録
特定の刺激語への接近・回避の身体的動作の効果が,IAT(Implicit Association Test)で同じカテゴリの未接触刺激語にも及び,対象概念に対する潜在的認知が変化することを検討した。本実験では対象概念と刺激語をDRMリスト(宮地・山,2002)より選出し,IATとカード分類課題(尾崎,2006)で異なる刺激語を用いた。まず,IATにより英語と電波の潜在的概念を測定した(Time 1)。続いて,刺激語の書かれたカードを条件に応じて,手前側(i.e.接近)あるいは向こう側(i.e.回避)に分類する課題を行った。その後,再びTime 1と同じIATを実施した(Time 2)。事前・事後の測定値を比較したところ,IATスコアに有意な変化はみられなかった。これより,用いる概念の相対関係や刺激語について議論した。