抄録
fMRIを用いて、聴覚情報のリアリティモニタリングについて検討した。まずはスキャナーの中で、他者の声で単語を聞かせるか、聞いているところを想像させた。その後スキャナーの外で、各単語について、見たか想像したか未学習の中から選択させた。①想像させた単語に関しては、左中前頭回(BA6)がより活性化した場合は「聞いた」と誤判断するよりも「想像した」と正判断することが、②想像させた場合にも聞かせた場合にも、左下前頭回(BA45,44)がより活性化した場合は「想像した」よりも「聞いた」と判断することが明らかになった。さらに、想像させた単語について「聞いた」と誤判断した単語について、幻聴様体験尺度のスコアと上側頭回(BA22)の活性化に正の相関がみられた。これらの脳活動により、ソースモニタリング時に認知操作情報(中前頭回)と知覚情報(左下前頭回、上側頭回)が使用されていることが示唆された。