抄録
私たちは,自分自身の運動に対する感覚フィードバックを通じて初めて,「自己」を認識できる可能性が議論されている。しかしながら,外的に入力されることになる刺激は基本的に発生源が未知で(例えば,自己由来vs環境由来),ノイズが含まれている場合も多い。本研究では,視覚誘導運動における視覚フィードバックの自他由来成分の操作によって,自他帰属の主観的・客観的指標に「妥当な」変化が見られることを示した。これは,感覚入力の自己帰属から利用へ至る過程を意味し,これがダイナミックに更新される自他表象の基盤になっている可能性について議論する。