抄録
Olsenら(2004)は、一定であるとされていたワーキングメモリ(WM)の容量を、トレーニングにより強化した。しかし、トレーニングに1ヶ月余りを要し、実験参加者にかかる負担が大きいという問題があった。そのため、本研究では短期間で実施可能なトレーニング課題を発案し、その効果を実験により検証した。
実験ではback digit課題を2回行い、成績の変化を見ることでWMの向上を検証した。その際、2回の成績評価課題の間にN-back課題を行うトレーニング群と、別の課題を行わない統制群との比較を行った。
back digit課題成績を分析した結果、トレーニング群の成績のみ評価2回目に向上した。実験の結果から、短期のトレーニングに効果があることが判明した。しかし、トレーニング効果をより大きくする方法や、影響が及ぶ範囲について、今後詳細な検証が必要と考えられる。