誰の目にも明らかな生命徴候の変化がないにもかかわらず、入院患者の死が近いことがわかるとされる看護師の存在が現場ではよく知られている。これらの看護師がもつ特性を明らかにするために看護職を対象とした質問紙調査を実施した。便宜的抽出法による看護有資格者252名中143名(56.7%)から回答が得られ、明らかな生命徴候の変化によらず入院患者の死期を認識した経験が「ある」と回答した者は47名(33.8%)であった。検定の結果、教育背景と看護師免許の有無、看護師としての経験年数が、明らかな生命徴候の変化によらず入院患者の死期を認識した経験の有無との間に有意な関連を示した。知識を蓄えるだけでなく生み出す訓練をしてきたそれらの看護師の中に、臨床現場において経験を知識として蓄積したり、経験から新たな知識を生み出すことができる者が多いことが示唆された。