テスト不安は,“テストでよい成績をとるために必要な反応を妨害する不適切な反応である”(Mandler & Sarason, 1952)と定義される概念であり,学習者に様々な負の影響を及ぼすと考えられている(Cassady, 2004)。先行研究では,テスト不安への介入方法の1つとして,フィードバックなどの言葉かけが取り上げられてきた。このような研究においては,実験室実験や実験者による介入を用いたものが多い。しかし,これらの手続きは日常的な学習環境とは相違がみられるため,より身近な場面を用いた検討も必要であるといえる。 そこで,本研究では,実際に評価される立場から脱し,より客観的な評定が可能であると考えられる大学生を対象に,中学生という学校段階における家庭での言葉かけについて回想に基づく回答を求め,言葉かけがおこなわれる場面とその内容がテスト不安と学習時間に及ぼす影響を明らかにする。