抄録
鈴木(1996)は、5歳から12歳の子どもを対象に,呈示された対象を反対側の机に再構成する課題を行い、幼児における空間の捉え方が発達とともに絶対的から相対的になり、7歳以後相対的に一貫することを明らかにした。しかし、鄭・杉村(2013)は、4~6歳児に同じ課題を行ったところ、41%の4歳児は、すでに、相対的反応に一貫していた。鄭・杉村(2013)において,呈示机と再構成机の間に400cmの距離が離れてある。対照的に,鈴木(1996)において,呈示机と再構成机の間に100cmくらい離れている。距離が長い場合,移動後,符号化過程で参照した見えが見えなくなるため,環境の手がかりより自己の身体情報が安定している。そのため,相対的反応が高くなる可能性がある。そこで本研究では,移動距離が子どもの反応に影響するかどうかを検討する。