抄録
本研究では、一般的なintentional bindingの手法を用い、自己主体感が他者との共同行為においてどう変化するか、また“we-mode”形成に他者との親密度がどう関係するかを検討した。参加者は知人あるいは初対面の人と2人1組で実験に参加した。参加者は2人のうちどちらかが自発的にキー押しをし、画面上の時計盤を見て、キーの押された時間、またはキー押し後に音の鳴った時間を回答し、自分と相手のどちらによってキーが押されたかを判断した。この結果、相手が誰か、また押したのが誰かに関わらずintentional bindingは発生し、その大きさに差は見られなかった。このことから、自分が行っていない行動に対しても、共同行為であればそこに自己主体感が生じる可能性があり、たとえ相手が初対面でも、共同行為をしていると知人相手と同じようなwe-modeを潜在的に形成しうる可能性があることが示唆された。