自己の運転習慣に関する知識は自己報告によって調査されてきたが,実際の運転記録とは必ずしも一致しない.活動量や運転習慣に関する研究は,活動や運転の頻度,性格が過大評価に繋がることを示したが,運転についての態度を扱った研究は少ない.本研究の50–83歳のドライバ66名の運転距離と頻度 (日/週) における自己報告と実運転の一致度は距離0.07,日数0.03であった.この一致・不一致に関わる要因を検討するために,頻度や態度を説明変数として二項ロジスティック解析を行った結果,性別と運転スタイル (運転スキルへの自信有無,運転に対する消極性,ステイタスシンボルとしての車) のオッズ比が上位であった.自己報告の過小視,過大視に因子ごとの特徴的な傾向は示されなかったため,実運転との矛盾の方向性には,ここで扱った変数とは異なる内的過程が関与する,または運転への態度によるモニタリングの経験が関与する可能性が考えられる.