日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第19回大会
セッションID: P1-B09
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ポスターB
未来思考生成における感情的方向性
― 心拍誘発電位を用いた検討 ―
*伊藤 友一田仲 祐登辻 幸樹品川 和志柴田 みどり寺澤 悠理梅田 聡
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抄録

人の思考には時間(過去・未来),感情(ポジティブ・ネガティブ),社会的(自己・他者)などの多様な方向性がある。先行研究は心拍誘発電位(HEP; heartbeat-evoked potential)を用いて,過去あるいは未来思考時の感情的方向が身体からの求心性信号を受けて規定されることを明らかにしている。しかし,感情的方向が思考生成のどの段階で決まるのかは明らかでない。本研究では,自己や他者の未来について思考する際の感情的方向性の生起時点を明らかにするため,脳波計測実験を行った。課題では,主語・時間・内容の3要素からなる文(例:私は/将来/試験に)を1要素ずつ呈示し,それに合わせて思考した上で,肯定あるいは否定的結末(例:自分が将来試験に受かるか否か)を自由に想像するよう参加者に求めた。結果,主語情報呈示時点のHEPで感情価による振幅の差が認められ,思考生成の最初期時点で身体からの求心性信号を受けて思考の感情的方向が規定されていることが明らかになった。

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© 2022 日本認知心理学会
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