2026 年 23 巻 1 号 p. R003-
高強度超短パルスレーザーによる高次高調波発生は,アト秒パルス発生技術として発展してきた.チタンサファイアレーザーを用いた初期の研究では,高繰り返し動作およびキャリア・エンベロープ位相安定化の実現に至る光源技術の発展により,アト秒科学における基本的な実験手法が確立された.その後,光パラメトリックチャープパルス増幅による長波長・高強度極短パルス光源が開発され,軟 X 線領域でのアト秒分光が可能となった.高い繰り返しで動作する軟 X 線アト秒パルス光源を用いた過渡吸収分光や光電子計測により,原子・分子・凝縮系の電子ダイナミクスをアト秒精度で観測できるようになっており,今後は高出力レーザー技術のさらなる向上と国際的研究拠点の整備が重要である.