2011 年 25 巻 3 号 p. 371-375
30代女性, 交通事故による多発外傷で近隣の救急病院に搬送され, 胸腹部損傷・右大腿骨骨幹部開放骨折にてICU管理となり, 術後2週後退院となった. 以後, 徐々に右大腿部の疼痛が増強し歩行困難となり, 受傷より6ヵ月経過後に当科を初診した.
初診時, 右膝関節の著明な拘縮および脚長差を認めた. 単純Xpにて, 右大腿骨骨幹部中央で広範囲骨欠損を生じていた. 複数回にわたる手術 (血管柄付き遊離腓骨移植術含む) により, 幸い骨癒合は得られ, 治療に難渋する骨髄炎・骨欠損を治癒せしめたが, 問題は外傷初期治療において, 避けられる機能障害をも回避すべく治療戦略を立てることである. 本症例の問題点につき考察を行った.